「開放経済」で活気づく中国
香港の九竜駅は、大きなトランクを抱えた大勢のアメリカ人でごった返していました。
経済開放政策で活気づく中国を見物に行こうという観光客です。
午後1時5分、広州行きの直行列車がホームを離れました。
2人掛けの座席は、横幅も座席間隔も新幹線よりゆったりし、なかなか快適です。
羅湖駅で国境を越えたと思ったらそこは経済特区、深馴。
高層のホテルやビジネス・ピルが林立する光景に、一瞬、新宿の副都心を見ているような錯覚におそわれました。
「香港と変わりませんねえ」と、向かい側の座席からアメリカ人の観光客が声をかけてきました。
しかし、その先に広がる農村風景は、さすがに中国を感じさせました。
農民は広々とした耕地にスキとクワを振るい、天びん棒で荷を運んでいました。
トラクターが普及していなかった当時は、土起こし役は、まだ水牛だったのです。
午後3時45分、広東省の省都、広州市に着きました。
3時間足らずの短い汽車の旅で感じたタイムトンネルに入ったような錯覚は、ここで再び現代社会に引き戻されます。
広州市もまた高層ホテルの建設ブームにわいていました。
24階建て、1200室の客室を持つ花園酒店(ガーデンホテル)が営業を始めたのは、10年前。
当時、使える客室はまだ200室だけで、他は工事中の仮営業状態。
しかしロビー人で埋まり、エレベーターもいつも満員。
地元の人たちが見物に来て、ロビーで記念写真を撮ったり、最上階の回転レストランへお茶を飲みに押し寄せるからです。
「香港から親類が来たりすると、客室へどっと押しかけ、順番に数時間にわたってシャワーを浴びるんです。
だから時々、お湯が出なくなる」とホテルのマネジャーはこぼしました。