日本の環境政策
78年7月、環境庁は、亜硫酸ガスにかわって大気汚染防止の焦点となってきた二酸化窒素の環境基準を、従来の基準(1日平均値0・02PPM以下)から大幅に緩和しました。
これによって、環境基準の達成率は16・5%から、告示即日93・7%へと一挙に"改善"されたのです。
この改定に際しては、自動車工業会から自民・民社両党への巨額の政治献金や、日本鉄鋼連盟の「二酸化窒素基金」、「トヨタ財団」などから中央公害審議会専門委員への「研究費」の供与などが、国会の内外で問題とされたものです。
しかし、緩和措置は実施され、これによって電力・自動車・鉄鋼などの巨大企業、設備投資など莫大な費用の「節約」を約束されます。
また、本四架橋・高速道路・火力発電所などの建設に向けて、環境基準達成上の大きな"あい路"がとり除かれたのです。
もちろん、この緩和措置によって大気汚染が現実に改善されるはずもなく、大気汚染による公害病認定患者はその後も増加を続けています。
しかし、この点については現在、公害健康被害補償制度(補償費用は"PPP"によって8割を産業界が負担)それ自体の"見直し"が行われているのです。
同補償制度の要件に窒素酸化物が加えられることによって、費用負担が契するのを極力回避し、さらには同制度の縮小を図ることに、さきの緩和措置のいま一つのねらいがあったと言うべきでしょう。